美少女吸血鬼の幼馴染は鬼の僕をバカにする【001】
「おっきろ〜!!」
今は木曜日の朝。
そして僕は今、ベッドの上に寝転んでいた。
ほんの5秒前まで夢の中で全裸で電車に乗っていた僕を両手で全力で揺さぶってくるこのかわいい女の子は僕の幼馴染の吸血鬼だ。
吸血鬼である目の前の女の子は人間の血を栄養にする。
でも僕は鬼だ。
吸血鬼のように血を吸うことは無い。
僕の食べるものは人間と全く変わらない。
ちなみに僕の好物はおにぎりだ。
「鬼は朝起きることも出来ないのかな〜♪」
「今日も起こしてくれてありがとな。」
「ふふ、いいよ♪お礼なんて言わなくて!血も吸えない鬼に感謝なんてされても嬉しくないからっ♡」
と、嬉しそうに答えた吸血鬼に向かって僕は微笑んで答え返した。
「じゃあ、一緒に学校に行くか」
「その前に支度しなくちゃでしょっ☆」
朝は何も食わない主義なので、起きてからおよそ2分2秒という速さで金髪で腰のところまで伸びた髪の毛から良い匂いを放出している制服を着た幼馴染と僕は僕の家の玄関に靴を履いた状態で立っていた。
この子の家は僕の家の隣だ。
だから幼少の頃から付き合いがある。
僕の家の玄関の扉を開けて一歩外に出た彼女は未だに家の中にいる僕にこんなことを言い出した。
「そういえば、今日は2月3日だね♪みんなから豆を投げられないように気をつけてね♡」
「イテッ!!」
吸血鬼の女の子は僕に注意を促しながらポケットから豆を取り出し僕に投げつけた。
「君は今日、ずっと外に居ないといけないから大変だね……まあっ♪私は吸血鬼だから関係ないけど♡」
そう、今日は鬼は外の日だった。
2月3日は鬼は建物の中に居てはいけないことになっている。
もしも建物の中に居たら人間や吸血鬼から豆をぶつけられてしまう。
しかし、近年鬼に豆を投げつける様な人や吸血鬼は減りつつあった。
なのであまり気にしないのが普通の鬼だが僕の場合は毎年この吸血鬼にずっと攻撃され続けられるので2月3日はなるべく外に居るようにしている。
彼女はまた僕に大量の豆を投げつけてニコニコとこう言った。
「福はうち〜!」
福が僕の家に入ってきたのを感じた。
しかし、その家を福と入れ替わるように鬼は出た。