世界一有名なネズミの話
そのネズミは世界一な有名でした。
身長約2mで黒くて丸い耳がふたつ。
ガールフレンドのネズミもほぼ同じような見た目をしてます。
そのネズミは様々な国の中に自分の国を複数持っていました。
そのネズミはみんなに夢を与えていました。
そのネズミはいつも笑顔でした。
そのネズミはたまに見た目が少し変わります。
そのネズミは長生きです。
そのネズミはみんなの人気者でした。
そのネズミはあまり喋りません。
ですが動きはとてもコミカルです。
あとあまりネズミっぽくありません。
二足歩行してるし。
服着てるし。
でかいし。
僕の彼女はそんな世界一有名なネズミです。
これは彼女があの有名なネズミだと知らない僕が勇気を出して高級レストランでプロポーズした時のやりとり。
「僕と幸せな家庭を築きましょう!」
僕はそう言って箱を開けた。
その中には当然指輪が入っていた。
なんと本物のダイヤの指輪である。
ついに彼女にプロポーズできた。
だが、彼女は申し訳なさそうに口を開いた。
「今まで秘密にしてた事を言わないといけないみたいね。実は私は×××××××なの!」
「な、なんだって!?×××××××!?」
嗚呼、彼女があの国で働いていることは知っている。
だが、彼女があのネズミだったなんて思わなかった。
「ごめんなさい!だから……あなたと結婚するわけにはいかないの……」
ショックだった。
今すぐダイヤの指輪を粉砕したくなるほどに。
左手の薬指にはめるはずの指輪を右足の中指に付けたくなるほどに。
とても歩きにくそうだった。
靴を履けるのかさえ怪しい。
まだ小指に付けた方が履きやすそうだ。
しかし、そもそも足の指に付けるというのがそもそもおかしい。
全10本のうちのどの指にはめたとしても靴を履くのは難しくなることは明白だった。
というか、親指には流石にはめられないだろう。
ということははめられる指は合計8本ということになる。
8本。
たしかタコの足も8本だ。
タコははたしてダイヤの指輪に興味を抱くのだろうか?
否、タコはきっとダイヤの指輪という高級な代物だったとしても真っ黒にしてしまうのかも知れないな。
そんなことされたら彼女に、僕の大切な彼女に、将来のお嫁さんに、僕はダイヤではなく石炭でできた指輪をプレゼントしたと僕達の周りのレストランの客達から思われてしまうかもしれない。
そんな人を好奇な目で見ない人類ははたしているだろうか?
否、もしもそんな人がいたとしたらその人は地球に宇宙人が攻めてきたとしても動揺しないような変人に違いない。
しかし、世の中には意外とそんな変人がウヨウヨしてるものだから困ったものだ。
…………いやいやいや!!ショックだったからって僕は長々と何を考えているんだ!
今はそんなことよりももっと困るべきことがあるだろう!!!
「そうか。理由は……分かってるよ」
「ええ……×××××××のお腹が急に大きくなったらみんなの夢を壊してしまうもの……」